過ぎし日の思い出

5/8
前へ
/37ページ
次へ
その日から私は死を待つだけの「人形」になった 魂も無く、意思もない絶望を固めた人形に それから数週間後、遂に意識が朦朧とし始めた 当然の事だった、ろくに食うものも食わず、飲むものも飲まず、睡眠も僅かだった 私はいつ死ぬのかと怯えていた 私も司祭様やシスターと同様に残酷な死を迎えるのだろうか 怖かった、祈ってもすがりついても誰も助けてくれないのだ 私は死に怯えながら死を待った そんなある日の事だ、私に手紙が届いた 封を開くと綺麗な手紙が二つ折りに入っていた 手紙を開くとそこには「粛清」の一文字が書かれていた 遂に来た、私の番だ 私は天国の二人に語りかけた 「司祭様…………シスター………私も直ぐそちらへ逝く………」 「もうすぐ…………貴方達と共に………また……」 しかし私は次の瞬間真っ黒な空間に落ちた
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加