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そうこう考えているうちに私は新撰組の屯所に着いてしまった。
うぅ...緊張するなぁ…。
そう思いながら私は屯所の戸を叩いた。
「すみませ~ん。」
「はいはい!」
私が声をかけると若い男の子が出て来た。
「あ、あの、兄様に会いに来たんですけど...。」
「...兄様?」
男の子は首をかしげる。
「なになに?女の子?」
そう言いながら男の人が笑いながらやって来た。
「ここは新撰組の屯所だよ?お店とかお屋敷は向こうに...」
「いや、違うみたいなんだよ。なんだかお兄さんを探してるらしくって...。」
「...お兄さん?」
「お前!?」
二人の会話を遮って走って来る男の人が二人来た。
「兄様!」
そう言って私は兄様に抱きついた。
「...斎藤、こいつは?」
兄様と一緒に来た男の人が兄様に私のことを聞いてきた。
先ほどまで話していた二人はまるで石像になってしまったかのようにピクリとも動かない。
「...俺の...妹です...。」
兄様は顔を赤らめて言う。
「...あ?」
兄様の言ったことに驚いたらしく、しかめっ面でなくなる。
だがすぐに元の顔になる。
「...まぁいい。中に入れ。変な噂を立てられたくないしな。」
そう言ってその人はプイッと後ろを向いて行ってしまった。
「兄様、あの人は?」
「あの人は新撰組副長、土方歳三だ。そこにいるのは藤堂平助、沖田総司だ。」
「よろしく~。」
「よろしく!って斎藤さんの妹か~!カワイイじゃん!何で話してくれなかったんだよ!」
そう言って藤堂さんがじろじろと私を見てきた。
少し照れくさいなぁ。
「...平助...。」
兄様が顔をしかめて言う。
「あ、いや、手ぇ出さないって!本当に本当だって!」
藤堂さんは慌てて言い、私から少し離れる。
沖田さんがそれを見て笑い始めた。
「...何がおかしい...。」
「いや~、妹さんが絡むとさすがの君もそうなるとは思ってなかったからさ~。」
「っ!!うるさい!」
兄様が真っ赤になって怒る。
「あはは~。じゃあ僕、皆に話してくるね~。」
「止めろ!」
兄様の制止も聞かず沖田さんは走って行ってしまった。
「ねぇねぇ、皆聞いてよ!実はさ~」
「おい!止めろ!」
兄様は真っ赤に沖田さんを止めに行った。
...私、何か悪いことしちゃったのかなぁ…?
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