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ズドォォォンッ!
竜巻を纏った巨拳は轟音を立てて地面に激突!
その圧倒的な威力は地面を抉り吹き飛ばし、クレーター染みた跡を残す!
「…………何だ、貴様は」
しかし、それだけの破壊を為した絶望鋼鬼は、声を震わせてそう呟いた。
これ程の威力……動けぬ竜王の身体は跡形も残らず消し飛んだだろう……。
「何なんだ貴様はぁあああ!!?」
……にも関わらず、絶望鋼鬼の口からは憤怒が吐き出された。
一体何故?
よもや、竜王が再び復活したとでもいうのか!?
「……また血塗れか……どうやら俺は、余程血液に縁があるらしい」
絶望鋼鬼の視線の先、皮肉めいた呟きを漏らすその人物は、その腕にボロボロの竜王を抱えて瓦礫の山の上に立っている。
その人物は、拳が振り下ろされる寸前に彼を抱えて救い出したのだ!
正に一瞬の出来事!
こんな出鱈目をやってのける人物は一体誰なのか!?
「……良……なのか……!?」
僅かながらに意識を取り戻した竜王が、ボヤける視界で捉えた人物の姿に弱々しく、しかし確かな驚きを含ませた声を上げた。
「……悪い、竜……来るのが、遅すぎたな……」
そんな竜王に、悲しく笑って言葉を返す人物。
真紅に染まった髪と瞳……そう!その人物は正しく最上良太郎だ!
記憶とは少し違うが、目の前にいるのは自らの親友……それを理解した竜王は、僅かに口角を上げて弱々しく声を上げた。
「ふっ……遅、すぎだよ良……僕達が、どれ、だけ、待ってた、ことか……」
「……すまなかった」
「彩上は……無事に、逃がした……君との、約束は、守ったよ……後、任せ……僕、もう……」
必死で言葉を紡ぐ竜王に、良太郎は頷いて優しく微笑んだ。
「……分かった、もう喋るな……ありがとう、竜……ゆっくり、休んでてくれ」
良太郎の台詞に安心した様に、竜王は微笑みを浮かべながら目を閉じた。
途端、ダラリと全身から力が抜け、抱える良太郎の腕に彼の重みが増して伝わる。
「……お前が、やった……間違いはないよな?」
その瞬間、良太郎から穏やかな雰囲気は消し飛び、マグマの様に煮えたぎる絶対零度の殺気が溢れ出した!
「俺の親友に手を出した罪は……重いぞォオオ!!!」
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