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全てを引き裂く様な殺気の籠った咆哮を受けた絶望鋼鬼は、負けじと狂気を孕んだ高笑いを上げる。
「がーっはははははっ!!!貴様が最上良太郎かぁ!?まさか、小娘ではなく小童を餌に釣れるとは驚いたぞ!?絶望は食い損ねたが、意外な所で役に立ったわ!探す手間が省けた!礼を言うぞ、鉄 竜王!尤も、既に聴こえてはいないだろうがなぁ!?がはははははっ!!!」
そんな彼に向かい、良太郎は尚も殺気を纏った鋭い視線をぶつけながら口を開いた。
「やはり、お前の仕業で間違いはないみたいだな……俺が目当てか?」
良太郎の台詞に、絶望鋼鬼は馬鹿にするような口調で返す。
「がっはっはっ!その通りだ!正確には、貴様の中にある核結晶に用があるのだが……まぁ、大した違いは無かろう」
汚く笑う絶望鋼鬼に、良太郎は表情を変えずに言葉を続けた。
「……そうか、つまりお前は……俺を探す為『だけに』、この学校を襲った訳だ」
「がははっ!飯も済ませられて一石二鳥!貴様には感謝するぞ!?何せ、貴様がいなければこうはならなかったからなぁ!」
沈黙する良太郎に、絶望鋼鬼は好き放題言葉を続ける。
「ワシが操血静鬼の悔しがる顔を見れたのも!この学校を襲う事になったのも!鉄 竜王と戦うことになったのも!元を辿れば全て貴様がいたからだ!がはははははっ!」
それに、と付け加える絶望鋼鬼の口元が嫌らしく歪んだ。
「あの小娘……ぐふふっ、彩上と言ったか?」
良太郎の反応を窺うようにゆっくりとした口調で言葉を紡ぐ絶望鋼鬼は、彼が『彩上』という単語にピクリと反応したのを見逃さない。
「良い身体だった、未成熟な中に確かな女を宿す肉体……貴様は見たことがあるか?ワシは見たぞ?……ぐふふっ、もうしたのか?いや、していないだろうな……アレからは生娘の匂いがした……ぐふふっ、思い出すだけで高ぶるわい」
「……菖蒲に、何をした……」
ここぞとばかりの挑発に、良太郎の殺気は膨れ上がっていた。
額に浮き出た血管は、ビキビキと音を立てている。
そんな良太郎を見て、絶望鋼鬼は満足げに言葉を続けた。
「なんだぁ?気になるのかぁ?……ま、そりゃそうか、思い人が他の男に嬲られたかもしれんものなぁ……」
「何をしたァアア!!!」
再び良太郎の咆哮を受けた絶望鋼鬼は、酷く愉快そうに言葉を叩き付ける。
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