血嵐跋扈

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固定された視線の先にある物……そう!それは自らの左腕! 「大正解だぜ、クソ野郎」 破壊された左腕の裂け目に邪悪な双眸の光が灯る……怒りに燃える、鮮血のような真紅の光が! メキャバキメキャアッ!!! まるで蛹を破り生まれでる蝶のように!鋼鉄の殻を裂き破り、凶悪、凶暴な鬼が生まれ出た!!! 「最上良太郎ォオオオオオ!!!」 真っ赤に染まった鎧の様なそのボディ!全てを憎む双眸を湛えた鬼の仮面!そして、ギラリと凶悪な真紅の輝きを放つ胸の核結晶! その姿!正に鬼! 「最上良太郎……?……残念ながらそれは間違いだぜ」 「何ィ!?」 「俺は、今の俺は貴様ら鬼を全て殺す存在……悪を食らう鮮血の悪鬼!鮮血悪鬼だ!!!」 絶望鋼鬼を睨み、指を差して高らかに名乗り口上を叫ぶ鮮血悪鬼。 彼は如何にして絶望竜巻拳を逃れたというのか!? 驚愕と憤怒が同居する声が、絶望鋼鬼の口から漏れた。 「鮮血悪鬼ォ!?ふんっ、瀉血動鬼の成り代わり風情が!大層な名前を付けたものだな!……ワシの絶望竜巻拳をどうやって凌いだ?」 「あぁ、そんな事か……アンタの腕は、良い風避けだった。それだけの話だ」 そう……あの直撃寸前、良太郎は鮮血悪鬼へと変身していたのだ。 迫り来る巨拳、そして大竜巻。 竜王を抱えていた鮮血悪鬼は考えた……竜王をこれ以上傷付けず、二つの脅威を同時に凌ぐ方法を。 そして至った答えは非常にシンプル。 『全て正面から叩き潰す』だ! 故に行動は一瞬! 僅かに早く迫る巨拳を迎え撃ち、蹴りにて拳を破壊! その巨大な前腕に素早く身を収め、正面から吹き荒れる災害級大竜巻を受けきったというわけだ! 「ぐふははははははははははははっ!!!」 高笑い……狂気を孕んだ絶望鋼鬼の高笑いだ。 絶対的自信を誇っていた技を凌がれた事実、自らの鬼鎧装甲を破壊する鮮血悪鬼の圧倒的な実力、それらを理解した絶望鋼鬼の心に火が点いた。 戦闘狂の男の心に、真っ黒な炎が燃え盛る! 「良いぞ良いぞ良いぞォオオオオオ!!?そうだ、そう来なくてはつまらん!!!貴様をワシの敵として見なしてやろう鮮血悪鬼!!!」
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