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絶望鋼鬼が愉快そうに高笑いを上げて足を踏み出したその時だ!!!
…………ゴゴッ。
「……ん?」
微かに聴こえた地響きに、絶望鋼鬼は足を止めて振り返る。
だが、金色の山は不動にして健在……気のせいかと思った矢先、先程より激しい地響きが鳴り響いた!
……ゴゴゴゴゴッ。
不動だった金色の山が、微かに震動している!
絶望を与え、それを食らう鬼の脳裏に、絶望的な未来が過った!
「ば、馬鹿なッ!悪足掻きだ!あんな若造が、ワシの絶望圧殺拳に耐えきれるはずがッッッ!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
過った未来を肯定するように、発言を否定するように、地響きは最高潮に達し、金色の山が遂に噴火する!!!
「そんなっ、馬鹿なァアアアアア!!?」
ドス黒い絶望と共に山頂より吹き出したのは、マグマのように煮えたぎる怒りと、炎のように燃える真紅の身体を持つ鬼!!!
鮮血悪鬼だッ!!!
「……絶望は、嫌というほど味わってるんだ……」
着地した彼は、怒りの中に何処か物悲しさを漂わせる台詞を吐き捨てる。
その背後、金色の山は音を立てて崩れ、そして消えていった……。
「ぐ、ぐぐ、ぐぅうううう!!!」
そんな鮮血悪鬼を前にして、絶望鋼鬼は震えていた。
その震えは怒りであり、恐怖であり、そして……絶望である。
『この、このワシが、こんな若造相手に……絶望しただと!?』
誤魔化すように自らよりも小さく、そして若い鮮血悪鬼を睨む。
真紅の悪鬼は、そんな視線に動じる事なくゆっくりと絶望鋼鬼との距離を詰めていた。
一歩、また一歩と。
その度に、絶望鋼鬼の震えは増している。
何故か身体が動かない……真紅の核結晶から放たれる怪しい光が、絶望鋼鬼に嫌なイメージを叩き付ける。
『逃げろ、食われる、早く逃げろ!?食われるぞ!!?』
自らの本能がガンガンと警鐘を鳴らし、絶望鋼鬼に逃走を促した。
しかし、彼には譲れぬプライドがあったのだ。
『許せぬ、許さぬ、許さんぞ小僧!』
彼に根付いたプライドが、恐怖を吹き飛ばし身体を動かさせた!
「ワシは百鬼夜行、四天王が一人!絶望鋼鬼!絶望を与え、食らう鬼よ!ワシは強い!強い強い強いィイ!貴様のような若造に、絶望させられるなどあってはならぬのドゥアアアアアア!!!」
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