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「ガァアアアアアアアアアア!!!」
突然の咆哮!
惚けていた良太郎に、突如として襲いかかるのは絶望鋼鬼の頭部!
大きく開いた口から覗くギラギラと輝く白い歯を、良太郎に突き立てんとひとりでに飛び上がったのである!
「なっ!?」
良太郎は、そんな信じられぬ出来事を前に目を見開いた。
だが、身体は冷静に反応を示し、迫る頭部の側面目掛けて拳を叩き込む。
メキャリと音を立てて変形した絶望鋼鬼の頭部は、その勢いで地面に叩き付けられ、数度のバウンドを経て停止。
「ガァァ……ァァァ……」
原形を残した半分が、怨めしそうに良太郎を睨んだ。
僅かに漏れる呪詛めいた唸り声を最後に、頭部に付いていた核結晶がコロリと取れて落ちた。
すると、絶望鋼鬼の頭部は瞬く間に渇いていきミイラの様になったかと思うと、直ぐにひび割れて砕け、粉となって崩れてしまう。
「……何だったんだよ……今のは……」
僅かに息を乱す良太郎は、その様を油断無く見据えていた。
地面に転がる核結晶は、今も美しい金色の光を放っている。
「……まさか首だけで襲いかかってくるなんて……これも核結晶の影響って訳か……?」
良太郎は、視界で輝く核結晶を見ながら誰に無く呟いた。
「……一応、壊しとくか」
立ち上がり、転がる核結晶の元まで歩み寄った良太郎は、それを足で捉えて躊躇無く踏み抜いた。
パキンッ……!
酷く軽い破壊音に苦笑しながら、良太郎は足を退けて核結晶を確認する。
金色の核結晶は、聴こえた音に違わず粉々に砕けていた。
「……意外と脆いな……まぁ、こんなもんか……?」
釈然としない様子で残骸を一瞥した良太郎は、視線を別な物へと移す。
……竜王の遺体だ。
絶望鋼鬼の左腕の残骸は彼の死と共に消え失せ、守っていた彼の身体を地面に投げ出していた。
「竜……」
良太郎が、彼に歩み寄ろうとした時……。
ファン、ファン、ファン…………。
迫り来るサイレンの音を、彼の耳が捉えた。
騒ぎを聞き付けた誰かの通報があったのか、警察が向かって来た様だ。
「……チッ、よりによってこんな時に……!」
良太郎は毒づき、竜王の遺体に再び視線を向ける。
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