血嵐跋扈

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「竜……すまない……!」 良太郎は顔を歪めて短く呟くと、直ぐ様その場を飛び去った。 真紅の輝きが薄暗い空に浮かび、やがて消える……。 徐々に近付いて来るサイレンの音。 激しすぎる戦闘で、立派だった学校は見る影もなく崩れていた。 悲惨すぎるその場に、ポツリと残された竜王の遺体……。 一体、何が起こったのか……それは、当事者にしか分からないだろう。 ヒュゥゥゥ……。 不意に、冷たい風が吹いた。 それは、粉となって崩れた絶望鋼鬼を、踏み砕かれた核結晶を無情に吹き飛ばしていく。 それが尚の事、この場の寂しさを増加させる……。 …………ファン、ファン、ファン、ファン、ファン。 けたたましいサイレンだけが、妙に響いて空気を揺らした……。 ―――――― 『おっはよーございますぅ!今日は超ビックリですぅ!昨夜、第六番都市立高等学校が崩壊しているのが警察によって発見されましたぁ!』 『マヤさん、今の所は原因不明らしいですが……どう思います?』 『マヤヤは事故では無いと思いますぅ!怖いですよホラーですよぉ!?』 『確かに……アレだけの被害があったにも関わらず、犠牲者の方々が見当たらないというのは……作為的な何かを感じますね』 『そうなのです!……ってな訳で情報が入り次第、どしどし報道していきますですぅ!以上、『マヤヤ、今日のビックリ!』でしたぁ!来週もチェキラァ!』 『……はい。それでは、次のニュースです……』 明くる日の朝。 居間のソファーに座ってコーヒーを飲むサクヤは、テレビに映るニュースを見て口を開いた。 「へぇー、学校壊れちゃったんスね」 「……そうみたいだな」 隣に座る―というか、サクヤに座らされた―良太郎は無表情で、興味無さそうに返す。 対するサクヤは、嬉しそうに頬を緩めてコーヒーを啜った。 「これで、学校行かなくても良いっすよね?」 「……多分な」 その言葉に、コーヒーカップをテーブルに置いたサクヤは、良太郎にしなだれる。 「えへへ……それなら、ずっともがみんと一緒にいられるっす……もがみぃん……好き……大好き……だから、今日も、沢山愛してぇ……?」 良太郎は、しなだれるサクヤの頭を優しく撫でて笑った。 悲しそうに、笑った。
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