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「まぁーまぁまぁまぁ!いくらコッキーが超超超絶ベリハイパー可愛いからってそんなイジメんなって!あんまり怒ると身体に毒じゃね?ボス、カルシウム足りてねんじゃね?牛乳飲んだ方が良いんじゃね?」
そんな空気を引き裂いたのは、妙に明るく耳障りなほど大きな声。
殺気をもろともしない軽いノリの声の主は、いつの間にか灼熱狐鬼の真横に立っていた。
一瞬遅れて姿を照らすスポットライトが当てられると、重なる光により一層鮮明にその姿を暗闇に映し出す。
灼熱狐鬼より頭二つ分程高い身長を持つその男は、とにかく目立つ……目を引く特徴だらけなのだ。
後ろで結い上げられた銀色に染まった長髪、全てを馬鹿にした様なニヤニヤ笑いが貼り付いた顔には無数の装飾―耳や唇にはピアス、顔面にはタトゥー―、首から下げられた重そうなネックレス、豹柄の肌着にピンク色のジャケット、これでもかと指に嵌められた無数の指輪、チェーンやら何やらが色々付けられた黒いパンツ……その全てが光を受けてギラギラと輝き、存在を誇示している。
正直、見ていて目が痛い。
「……普天傾鬼(ふてんかぶき)か」
「おっおぅー!普天傾鬼ちゃん、どぅえっす!ただいま戻りやしたぁー」
神鬼の声が向けられても、変わらぬ調子でおどけるこの男もまた鬼!四天王の一人、普天傾鬼なのだ!
「あんな爺さんの核結晶なんて別に良いじゃん?どのみち伸び白皆無じゃん?なっ!コッキー?」
普天傾鬼は、ニヤニヤ笑いをそのままに灼熱狐鬼の頭をポンポンと叩く。
すると、灼熱狐鬼はプルプルと小さく身体を震わせたかと思うと、ボソリと低く呟いた。
「……気安く触るな」
「うわっちっ!?」
刹那!灼熱狐鬼の頭を叩いた普天傾鬼の手に火が点いた!
普天傾鬼は驚きの声を上げて、大袈裟に跳び跳ねる!
「あっちぃいい!?水っ!水ぅうう!?」
部屋中を走り回りながら、火の点いた手を振り回す。
しかし、火は鎮火すること無く燃え続けていた。
「いつも言っているだろこの汚物ッ!我らが主、神鬼様に敬意を払えとッ!後、コッキーって呼ぶなぁー!!!」
頭を上げた灼熱狐鬼は、走り回る普天傾鬼を目で追いながら叫び散らす。
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