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「随分と賑やかじゃない、私も混ぜてくれないかしらぁ?」
その場に現れた新たな声……スポットライトに照らされて輝く美しい金髪を靡かせながら歩く妖艶な雰囲気を漂わせる美女、操血静鬼だ。
「……来たか、操血静鬼」
「えぇ、遅れて申し訳ありませんご主人様」
「うわちちちち!?」
神鬼の声に、操血静鬼はモニター前の灼熱狐鬼の横に並ぶと、跪いて言葉を返す。
その体勢のまま、視界の中で走り回る普天傾鬼に声を向けた。
「傾鬼ちゃーん?そんなに熱いなら、その手を切り落としてあげましょうかぁ?いい加減鬱陶しいわよぉ?」
「おぉう!静鬼の姉さん、そりゃ勘弁!しかしまぁ、相変わらず良い乳して」
声を受けた普天傾鬼が動きを止め、ニヤニヤといやらしい視線を操血静鬼に向けた瞬間。
ゴウッ!!!
「ぬぉお!?燃え上がったじゃーん!?」
普天傾鬼の全身が炎に包まれた!
それは勿論、灼熱狐鬼によるものだ。
「グルルルッ……燃え尽きろ薄汚い×××野郎」
「あひゃひゃひゃ!コッキー、嫉妬か!?これは嫉妬の炎なのかぁ!?大丈夫、俺は乳が無くても問題な……」
「馴れ馴れしくコッキーと呼ぶなと言ってるだろうが!この××××野郎!!!」
灼熱狐鬼が叫ぶと、燃え上がっていた普天傾鬼は音を立てて爆発した。
彼が立っていた場所には、僅かな燃えカスのみがパラパラと落ちる。
「……ふんっ」
それを一瞥すると、灼熱狐鬼はモニターに向き直り、再びペコリと頭を下げた。
「……申し訳ありません神鬼様、とんだ失礼を……」
「ふっ……気にするな、良い余興であった。では、報告の続きを聞こう……絶望鋼鬼の核結晶を回収出来なかったらしいが……」
「その件は私から説明いたしますわ、ご主人様」
灼熱狐鬼が口を開くより早く、操血静鬼が口を開く。
灼熱狐鬼の小さな舌打ちを受けながら、彼女は悪びれずに言葉を続けた。
「灼熱狐鬼の必死の捜索により、僅かですが核結晶の破片が発見されました。鮮血悪鬼により、絶望鋼鬼の核結晶は破壊されたようですわ」
「ほぅ、そうか……成る程」
神鬼は、不気味に静かな笑いを上げる。
そして何か納得したように、満足げな声で続けた。
「普天傾鬼の言った通り、奴の核結晶はどのみち成長の見込みは無かったからな……返って、壊されて良かったかもしれん」
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