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使用人達が明るい口調でリィナに話し掛けたが、リィナは聞いているのか聞いていないのか分からない様な生返事をした。その時、リィナの部屋の扉が二回ノックされ、続いて扉が外側に開かれた。
部屋の外から入ってきたのはみすぼらしい服を来た、ボサボサな橙色の髪と鋭い瞳をし、その顔は栄養が足りていないのか痩せこけている。
その少年の登場に使用人達は驚愕したが、リィナは一気に緊張した。何故、何故彼処から出てこられた?リィナの頭はその事で一杯に成った。
彼処とは、少年が居た……閉じ込められていた部屋の事だ。部屋の前には2人の見張りが居たが、今日は誕生会で人手不足の為見張りを打ち切って準備に回っていた。
そしてこの少年はスラン。リィナの双子の兄、そしてこの屋敷の持ち主の子供で長男でも合った。
スランは使用人達とリィナの反応を見ても表情を変えない、そして口を開いた。
「リィナ、誕生日おめでとう。そしてさようなら。また会えたら良いですね」
スランの棘の有る雰囲気とは違いその喋り方は丁寧だ。スランが口に出したのはお祝いの言葉、そして別れの言葉、最後は期待。
リィナは暫くスランの放った言葉の意味が分からず呆然とした。次第に言葉の意味を理解し始め、我に帰った時にはもう其処にスランの姿は無かった。
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