――「中学の公民 序文」(天務省指定教科書)よりの抜粋

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(前略)  かつて、世界は絶望に満ちていました。  全ての人々にとって、死とは恐怖の象徴だったのです。  それは、どんなにか辛い生だったことでしょう。  それは、どんなにか貧しい生だったことでしょう。  長い人生の終着点が、恐怖そのものであったなんて……  そもそも、恐怖の本質は「未知である」ということです。  かつて死が恐怖の象徴たりえたのも、死んだ後、その先に何が待っているのかが「未知」であったからに他なりません。  しかし、今に生きる我々は知っています。  死して後、自分がどうなるのか。  我々は、ついに「天国」の存在を捉えたのです。  本書を読んでいるあなた方のうち、誰か一人でも死ぬことが怖い人がいますか?  誰か一人でも愛する人を失って悲しい人はいますか?  ――恐らく、いないでしょう。
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