――「中学の公民 序文」(天務省指定教科書)よりの抜粋

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 至天の五箇条を護る限り、我々の永遠の幸福は約束されているのですから。  ヘブンズドアという素晴らしいシステムによって、我々と死後の世界との垣根は取り払われたのですから。  なんと、幸福な時代なのでしょう。  そのことを、忘れてはなりません。  我々は、とても幸福な時代に生きているのです。  だからこそ、安心して天寿を全うすることが出来る。  いがみあうことをせず、争わず、互いに譲り合う余裕を持つことが出来る。  我々は、選ばれた時代、選ばれた国に住む、選民なのです。  それがために、かつての大災害〝神裁(みさばき)〟によって他の国は滅び去りましたが、この島国だけは取り残されたのです。  それがために、我々にはヘブンズドアが与えられたのです。
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