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「っとに、何度呼ばせりゃ気がすむんだよ!
母ちゃんが起こしてこいっていうから仕方なく来てやってんのにさ!
これで俺が遅刻したらどうしてくれんだよ!」
騒々しさに眉をしかめながら、布団を鼻の上まで引き上げる。
「………コテツ……あたし今日、休む」
寝起きのしゃがれた声でそう言うと、コテツは少しひるんだように怒りをおさめて尋ねてきた。
「な、なんだよ?
姉ちゃん、どっか具合わるいのか?」
「うん………恋の病………」
「…仮病かよ!」
コテツはきっちり突っ込んでから、アホらしそうに頭をかき、ドアをたたき付けるように閉めて、階段をかけ降りていった。
「母ちゃん!姉ちゃん叱ってよ!
あいつ仮病で休む気だぞ!」
さっそく告げ口しているコテツの大声が階下から聞こえてくる。
あのマザコンめ。
なんかムカツクから、あいつの今日のオヤツ、全部食べてやる。
コテツへのプチ嫌がらせを決意しながら、ゆっくり体を起こす。
はあっと唇から、気だるいタメ息が漏れた。
分かってる起きなくちゃ。
起きて、ドアを開けなくちゃ。
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