ああもう!熊、ジャマ!

3/7

1463人が本棚に入れています
本棚に追加
/461ページ
あの可憐さでアプローチされたら、大概の男の子は桜子に落ちると思う。 コウタくんは、なんであたしと付き合おうと思ったんだろう? 顔もスタイルも、悔しいことに性格ですら桜子より勝っているとこなんて、一つもないのに。 タメ息を漏らして、鈴なりになったギャラリーの影から少し離れる。 歩き出そうとした時、ふと視線を感じて、あたしは恐る恐るグラウンドに顔を向けた。 「…………………」 ウォーミングアップを終えて、汗を拭うコウタくんが、驚いたようにあたしを見ていた。 あたしたちの間に張りつめた空気が流れる。 コウタくんは、 瞬時に強ばったあたしの顔から、瞳を逸らしかけて、 思い直したように真っ直ぐあたしを見た。 どうしよう。逃げたい。 でもダメだ。 もう、逃げないって決めたんだから。
/461ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1463人が本棚に入れています
本棚に追加