ああもう!熊、ジャマ!

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「…矢木!」 不意にコウタ君が振り返って、あたしの名前を叫んだ。 え? と思ったときには、もう白と黒のボールが目の前にあった。 ボグッ 鈍い音。 ボールは顔面に命中した。 そのまま後ろに倒れていくあたしの鼻から、勢いよく吹き出した鼻血が宙に孤を描く。 は、鼻血はマズイかも。 この間大量に出血したばかりだし………。 「矢木!」 コウタくんの声が近くで聞こえるような………。 ああ、でもダメだ。もう、真っ暗。気が遠くなる…………。 近頃出血過多なあたしは、当然ながら貧血で気を失った。
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