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電話で仲直り作戦は、完全に失敗に終わった。
いや、失敗と言うより、いたずら電話をしただけと言う、意味のない結果となってしまった。
あたしからの電話だってコウタくんにバレてないかな?
それが一番心配だ。
次の日の朝、あたしはコウタくんの家の近くにいた。
コウタくんの病気が治ったのか、今日は学校に来れるのか………モヤモヤしながら植え込みで息をひそめる。
朝5時半。コウタくんはいつも通り、玄関から出てきた。
(良かった病気が治ったんだ)
とホッとはしたけれど、なんだかいつにもましてフラフラしている気がする。
覚束ない足取りで歩いて行くコウタくんが心配で、コッソリ尾行しようと歩き出した途端、誰かに腕をつかまれた。
「ひっ」
びくんと肩を揺らしながら振り返る。
そこに早瀬桜子が固い表情で立っていた。
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