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(え?なんで桜子?)
混乱しながら、意外と背の高い彼女を呆然と見つめる。
早朝だと言うのに、桜子は綺麗に髪を巻き、きちんと化粧も施していた。
ピンクの花柄ワンピースに白い薄手のカーディガン。
いかにもお嬢様然とした清楚な服装から、寝起きではないことは一目瞭然で。
だとすれば、彼女は早起きして、すべての用意を済ませ、あたしが来るのを待ち構えてた………ってことになる。
(…………なんのために?)
あたしは一方的に彼女を知っているけど、桜子はあたしを知らないはずだ。
学校だって違うし、そもそも会ったことがない。
(…………しかも、この人……)
あたしがいくらコウタくんに気をとられてたとはいえ、足音も立てず、気配も感じさせず、こんな真後ろまで近づいて来るなんて…。
実はくの一か特殊訓練を受けた諜報員なんじゃ…………。
懐から、飛び道具出してきたらどうしよう?
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