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以前にも何度か入り込んで、
部活のスケジュール確認したり、
コウタくんの制服の匂い嗅いだり、
スポーツバッグに付いたキーホルダーを拝借したり、
結構やりたい放題やってた。
だから少し気を抜いてたんだ。
薄い壁に耳を押し当て人の気配がないか窺う。
音がしないことを確認して、ゆっくり引き戸を開けて、
「…うそ」
思わず声が出た。
突然射し込んだ光に、まぶしそうに目を細めて、コウタくんがあたしを見ていた。
パイプ椅子にもたれ掛かり腕を組んだ体制で彼は、半分瞼を閉じてぼんやりしていた。
「…やばい。寝てた」
小さくもらして、首をコキコキ鳴らす。
そして眠そうにあくびをしながら、コウタくんはスポーツタオルを首にかけて立ち上がった。
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