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そこに理想と狂気を履き違えた幹部が、加わってしまい生まれたのが、今現在に置いて最強の一角とまで言われる怪人トンボレーサー。
なにやら相当に厄介な特殊能力があるらしいが、そこまではまだ読めていない。
「…ゲスト様が、何を悩んでおられるのか、なんとなくですが理解出来る気がします。」
横になったままのウィキが、氷嚢を押さえたまま言葉を紡ぐ。
「同じ異世界の人間同士で争う事を、躊躇っているのですね?」
「まあな、異世界の人間っぽいと言うだけで、同郷かどうかもわからないがそれでもな。」
当時の開発者達ですら、元に戻せないと判断した怪人だ。何とかしようとしたら倒すしかない、それは素体となった2人の人間の死を意味する。
元の世界へ帰りたい気持ちはある、ここは俺の居場所ではないと常に違和感が付き纏う。帰る為に誰かを不幸にする事も問わないと、決心だってしたはずなのに。
揺らぐ、心がどうしようもなく揺らぐ。
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