始まりは突然現る

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「お、隆也と春樹じゃん」 結構速く自転車で走っているのに、全速力で走っているであろう隣を見る。足で、だけど。 「藍、おはよう」 「おう、いつも仲が良いな」 口調とか異常な身体能力の持ち主だけど、藍は女子なんだよな。名前は字岐 藍(アザギラン)で俺と身長が2cmしか違わない。女子にしては長身だよな。 「いつも思うんだけど、疲れない?毎朝、全速力とか」 「ん?いや、疲れないし動いてないと落ち着かなくてな」 「藍らしいね」 藍は運動神経に関しては、ずば抜け過ぎて人間じゃないんじゃないのかと思った程だ。 「隆也は相変わらず可愛いな」 「ちょっ…男だし撫でるなし」 藍はちょっと、いや随分変わってる…男の俺を可愛いとか言ってくるんだ。確かに中性的な顔立ちかもしれないが可愛いはないだろ。 てか、高速自転車に追い付いてるだけで凄いのに息上がってないし撫でてくるし女子にみえん。 「藍、その辺にしとけ」 「…わーったよ。だから、そんな睨むなよ」 苦笑いしながら撫でるのを止めた藍、後ろからじゃ分からないけど幾分、機嫌が悪そうな春樹。怖い怖いとか言いながら藍は走り去っていった…って俺達も早く行かないと。
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