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俺は勧誘の一週間後に仮入部を選んだ。
悩んで選んでおきながら、往生際悪く『仮』を付けた。
別に巨乳が気になった訳じゃあない。
先にさっさと入部を決めた石橋が『面白い』って言ってたからだ。
「1年2組の鶯谷正と申します。仮入部ですがよろしくお願いします」
新聞部の部室は別棟の1階にある。
別棟と言っても昔使って居た学校の寮の事で。
今でも2階は神社側が寮として使用しているそうだ。
「ここ温泉引いてんねんで」
そう言って俺を案内してくれるのは、副部長の徳之島陵先輩。
俺史上最高の美形だ。
俺がアイドル事務所のスカウトマンなら間違いなくスカウトする。
神学科の3年生で、家が関西の大きな神社らしい。
将来。
男前過ぎる神主としてテレビで引っ張りだこになると、俺は確信している。
「鶯谷くんは家近いん?」
「えっ…はい。駅2つ分です」
「えぇなぁ。俺はアパート住みやから、時々ここでお風呂借りるんよ」
神社のご子息だからこんななのかな。
あぁ朗らかな人だぁ…
美形も相俟ってキラキラ輝いて見える。
「足伸ばさんと、ちんこも伸びんさかい」
あぁ…でもいちいち下ネタ入る人だ。
「ふふふ」
ふふふじゃフォロー出来ないだろ。
天は二物を与えない。って本当だな。
「先輩、次入る時誘って下さい。うち風呂小さいんですよ」
こーゆー人嫌いじゃない。
ギャップって魅力的。
「えぇよ、今度一緒に入ろか」
確かに『面白い』。
「ここの案内はこんな感じかな、細い事は追々覚えたったらえぇ」
「あ、はい。ありがとうございます」
頭を上げると徳之島先輩のアップ。
「うわっ!」
「うぐいすくん、黒目大きゅうて真っ黒やな」
「そうなんです…子供っぽく見えて嫌で」
美形のキラキラパワーが降って来る。
あれ?俺、動けない。
「徳之島・先輩」
キラキラパワーを押しのけ、上から降ってくる声。
「……バッシー」
「あらあら、見つかってもうた」
徳之島先輩は石橋に見惚れるような微笑みを送る。
「山崎先輩がパソコン室でお待ちです」
「竜太郎が?なんやろ」
山崎先輩って派手な眼鏡かけて、直ぐどこか行った2年生だったよな。
「松田さんと連絡取れたみたいです」
松田…松田って誰だ?
まだまだ面白いネタがありそうだ。
「ほうか、それなら行かな…またな鶯谷くん」
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