石橋を叩いて渡れ .

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「はい。あの、徳之島先輩」 急いでるのは分かってたんだけど、俺はジャケットの裾を掴んで引き止める。  「うぐいすで良いです。言いづらいから」 そう言って裾を離すと。 徳之島先輩は小さく頷いて、今日一番の笑顔をくれた。 「一緒にお風呂。約束やよ、うぐいす」 「はい!」 返事と共に吹き出した俺と、徳之島先輩の背中の間を石橋の視線が行き交う。 「何?今の?」 「風呂に入る、約束したの」 「なんで?」 「話しの流れだよ」 「なんの話ししたら、そうなる訳?」 珍しくしつこい石橋に俺はつい意地の悪い答え。 「ちんこが伸びる話」 「はぁあ??」 聞いた事のない裏声が廊下に響いた。 息が出来ないほど笑いのツボにハマった俺は、目尻の涙を拭って石橋の腕に顔を埋める。 笑い止まんねー。 「じょう…らんだって」 「……お前なぁ」 石橋の溜め息は笑いの燃料にしかならない。 俺は腰が抜けそうで、たくましい腕にガッチリとしがみついた。 「あー…面白い」 「ウグイス。お前、面食いですなぁ」 「まーねぇ」 石橋のシャツの腕が、すっかりくしゅくしゅになる頃。 俺の笑いは漸く止まった。  § § § § § .
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