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「え~とね…たしか斎藤浩二とか言ったかなぁ、お兄さん」
相変わらず凄い記憶力。
なんで俺なんか推薦してくれたのか、さぁ~っぱり…
「さいとうこうじ…字どれ?」
「多分、これかな」
そう言って画面を指差しながら目をスッと寄せたから、俺はフリスクを取り出した。
「はい。少しはすっきりするかも」
「……サンキュ、うぐいす」
甘ぁい笑顔で答える。
「ぁ、出た。ありがとう、しんぱち」
俺はいくつか使えそうな記事をプリントアウトして、しんぱちを手伝ってから部室へ向かった。
§ § § § §
「あれ?バッシー」
別棟に続く階段を下りると、入り口に石橋の姿が見えた。
「おーい、バッシー!」
気づいているようだがリアクションが少ない。
近づいてその理由が分かる。
「何、その荷物?」
「2人の荷物ですな」
「「え?」」
俺と八森は顔を見合わせた。
突然。
神社側で寮の1階部分が入り用になったとかで、追い出されたらしい。
なかなか帰って来ない2人を、暑い中待つ役目は当然のように石橋ただ一人。
「パソ室来たら良かったのに」
「しんぱちと一緒だとは思わなかったんだよ」
「あ…そっか」
差し出された荷物を受け取る。
「荷物は全部持って来たつもりだが大丈夫か?」
「俺は大丈夫」
「俺も大…しまった!弁当箱」
そういえば八森。
見た事ないお弁当袋持ってたっけ…。
「申し訳ない、見落とした」
「いや、俺が分かりづらい場所に置いたかも…」
何故か微妙な空気が流れる。
あれ?八森なんか照れてる。
「俺取りに行くから、先帰っててよ」
「え?イヤ俺の責任でもあるし、付き合う「じゃあ、先に帰るね」
俺は会話をぶったぎって石橋と腕を組んだ。
「なんだウグイス、薄情な事言うんじゃないよ」
「うるせー良いから帰るぞ」
ぐいぐいと引っ張るがビクともしない。
頭に来た俺は腰に抱きついて石橋の体ごと押す。
「てめっ…動けっての!」
「帰りたいなら…一人で帰れば良いだろっ」
力いっぱい押し合って居ると、八森の吹き出した。
「バッシー。俺お弁当箱返す人が居るから、先帰ってて」
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