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あーもー八森に言わせちゃったよ。
ぱちくりしてる場合じゃねーっての。
「あ…そ、そうか。じゃあ…遠慮なく。さようなら」
「また明日な、しんぱち」
まだ動揺してる石橋に腕を組んで引っ張ると、今度は素直について来た。
「また明日ね」
八森が照れた笑顔で手を降る。
初めて見た八森の照れた笑顔。
俺はなんだか凄いくすぐったい気分になった。
「気がつかなすぎっ!」
俺は階段を登り切った途端、石橋にダメだしをする。
「すまない…全く想像出来なかった」
しょぼんって音が聞こえて来そうなくらい、石橋は肩を落とした。
「お前、弁当とか貰った事ないの?」
「残念ながら、ない」
「え?マジで」
肩越しに見上げると、女が好きそうな顔が見える。
オタクって不憫だな。
「お前身長いくつ?」
「…なんだ急に」
「ん~この角度カップルにちょうど良いなぁ…と思って」
組んでいた腕に顔をすりよせると、凄い勢いで振り解かれた。
「っウグイス!冗談が過ぎるぞ」
「はぁ?こんな面白くもねー事、冗談になるかよっ」
思わぬ反応にこっちまで急に恥ずかしくなって来る。
「た…確かにそうだな」
顔赤すぎるだろ…お前。
赤い顔を見ていられなかった俺は、視線を腕に移す。
急に首筋に蘇って来た筋肉質で固い腕の感触。
初夏の陽射しで少し汗ばんだ腕は、思ったより熱くて…
ほら、こんな風に熱くて…
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