石橋を叩いて渡れ .

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. 「……ウグイス」 消え入りそうな石橋の声で我に返る。 「うわっ!」 何やってんだ俺!!! なんで石橋の腕に頬をくっつけてたんだ?! 「ご、ごめん!流石に今のはない」 見上げると病気かと思うほど、赤黒い顔。 茶色の目が揺れて… ドサッ 石橋の鞄が足元に落ちた音。 腕なんか比じゃないくらいの熱さが俺を包む。 石橋が俺を抱き寄せてる? 「……バ…ッシー」 同い年とは思えないような胸板。 むせかえるような男の匂い。 耳元に感じる息づかい。 めまいがする。 「石…橋」 なんかヤダ。 体中持ってかれる。 「ヤダ!!」 拒絶の声に一瞬、腕の力が緩む。 俺は力ずくで腕を振りほどいて、鞄で石橋を叩いた。 「石橋のバカっ!!」 石橋の答えを待つ事なく全力で走る。 体中心臓になったようで、俺は走りながら耳を塞いだ。 何だよ今の!? 力の入らない足をなんとか動かしてたどり着いた通学路。 「…何やってんだ、俺……」 ゆっくりと息を整え、滝のように流れる汗を肩で拭う。 駅に足を向けると。 通いなれた道がいつもより下り坂に見えた。 .
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