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俺は膝の力が抜け、その場にへたり込んだ。
「ははは」
思わず笑いが零れる。
『電話くれ』って。
メール開けるだけで結構HP使っちゃいましたよ。
更に力を使えとな。
メールの着信時間を見ると、14分前に届いて居た。
俺の電話待ってるんでしょうね。
ドキドキしながら電話抱えて…いや、机の上に置いてかな。
鶯谷は肝心な所を丸投げする。
ちょいと後ろ向きな性格が、そうさせるみたいね。
はい。
そんな所も愛しくて仕方ありません。
全部受け止めますと手を広げると、伺いながらもエイっと預けて来る。
「元気氏!申し訳なし、少し電話をして来ます」
俺は離れた仲間に声をかける。
何か言われてる気もしたが、答えずに道路の反対側へ渡った。
電話帳から鶯谷の番号を呼び出し通話を押す。
警戒心の強いアナタが。
こんなにも丸投げしてくれるんだから、自惚れていいですか?。
きっとこの電話で何かが変わる。
1コール・2コール・3…
『p……遅ぇ』
電話口から不機嫌丸出しの声。
「すみませんねぇ。貨物見に外なんですよ」
『……なに、その変なしゃべり方』
あれ?警戒してる。
「あ、ごめん。鉄道仲間用の話し方した」
『………』
電話越しでも空気が変わったのが解った。
「ウグイス…あのさ」
一言も聞き漏らさないようにと、耳に携帯を付ける。
と、その時。
線路が鳴いた。
しまった、貨物が来る。
『……お前さ』
「ウグイス、ちょっと待って電車が」
『お前…俺の事』
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