石橋を叩いて渡れ .

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『大酉高等学校』 この辺りでも古い部類に入る共学の中高一貫校。 神社が母体の学校だけど、普通クラスは宗教色が全然無くて。 他と違う所って言ったら月一の参拝くらい。 なかなか良い条件が揃ってるんだけど。 参拝する神社が大きい山の上にあって。 校舎はその横にあるもんだから、イマイチの人気。 中等部で辞めちゃうヤツも多くて、高等部の合格率はそれほど低くない。 特に女子が少ない。 確かに毎朝あの坂登るのは厳しいもんね。 ちょっとした登山。 でも俺はそこが気に入ってここを選んだ。 実は俺、山男。 デカい声で言えない趣味。 最近は山ガールなんて流行りもあるけど、女子高生に山ガールなんか居ねーっつっーの。 「おはよーウグイス」 「おぅ、おはよーバッシー」 軽く上がった息で俺の肩を叩いたのは石橋。 新しい生活が始まって1ヶ月。 結局、俺は前の席の鉄男と仲良くなった。 お互い外部組ってもあって…いや、多分俺の名字が駅名だからだろうなぁ。 俺の名字を呼ぶ度になんかキラキラしてるように見えて、早々にニックネームを付けるよう頼んだ。 とにもかくにも鶯谷って言いたいのか、ヤツが提案したニックネームは『ウグイス』。 女子に「可愛い」なんて言われて盛り上がっちゃって引くに引けなくなった。 「なんかイメージに合うぅ」だってさ。 どーせ俺は小柄で声が高いですよっ。 .
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