出会い

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秋「話しが逸れてしまったね。とにかく、このまま彼女がグループをやめるということは、我々にとっても、彼女にとってもプラスにはならないんだよ。」 直「その子にとってもですか?」 秋「あぁ、そうだ。芸能界というところは、一般の生活とは真逆にあるといってもいい。あらゆる不安やプレッシャー、周りからの声、目を常に感じながら生活していかなければならない。そんな生活で、周りに頼らず、信用しないでいくということは無理なことなんだよ。これは、一般の生活をすることでも共通している。一度、芸能界に足を踏み入れるということは、本人以上に周りが意識する。そんな目線を気にしながら仕事をし、生活するってことは予想以上に厳しいものになる。つまり、このままグループを彼女がやめてしまうってことは、彼女自身を潰すことにもなってしまうんだよ。」 直「……。」 秋「僕は、彼女をこのままの状態でやめさせる訳にはいかない。それは、プロデューサーとして、そして一人の人間として。」 先生の迫力に言葉を失い、ただただ先生の顔を見ることしかできない自分が少し恥ずかしかった。
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