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先生は、いきなり立ち上がったかと思うと、俺の目の前で止まった。
直「先生?」
何をするんだろうと不思議がっていると、先生は真剣な面持ちで頭を下げ話してきた。
秋「いきなり、こんなとこに呼ばれて、初対面の君に頼むようなことじゃないのはわかっているが、僕に協力してもらいたい。」
秋葉先生みたいな目上の方が俺みたいな者に対して頭を下げるという行為をされ、頭が真っ白になった。
直「……。」
俺は何も発することができなかったが、その沈黙の間、秋葉先生は俺の目の前で土下座をしだした。
秋「頼む。」
その一言を最後に、先生は動くことをやめて、俺の言葉を待っているようだった。
直「や、やめて下さい。とにかく頭を上げて下さい。」
ようやく出た言葉に反応したかのように、先生はゆっくり頭を上げた。
直「とにかく訳がわからないので、理由を話して下さい。」
秋「そうだね、いきなり協力してくれと言われても、意味がわからないもんね。」
直「まぁ、そうですね。あと、もう俺なんかに土下座とかやめて下さいね。」
秋「いや、土下座くらいで君が協力してくれるなら安いものだよ。」
直「…そうですか。それで、頼みたい事とは何なのでしょうか?」
秋「実は、あるメンバーについてなんだけどね。彼女はここ数年の間、すごく悩みというか問題を抱えている。」
直「でも、悩みは誰にでもありますよね?」
秋「あぁ、でも彼女は悩むと全てを自分で解決してしまおうとしてしまうんだよ。それが、自分自身では解決出来ない問題であろうとも。そこで、僕は一昨年の10月17日に彼女にメールを送った。」
直「10月17日?何の日ですか?」
秋「彼女の誕生日だ。僕は彼女に、今年はもう少し周りの人間を頼りなさい。そして、悩みを抱えたら相談して楽になりなさいと言ったんだ。彼女は、彼女なりに考えて、まず小さなことから周りのスタッフに相談していったんだよ。そこで、問題が起こった。」
直「問題?」
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