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「……つつ…………、あの野郎……本気で殴りやがって……!!」
「あ……私、消毒液持ってくるね……っ。」
啓太郎宅にて 怪我した巧と三原を担いで一時帰ってきた啓太郎・真理。
「あ、俺は大丈夫だから、乾さんの方を……。」
「いやいや、そんな訳にはいかないって……!!」
二人をソファに座らせると、真理が消毒液と消毒用の綿を持って戻って来る。
「海堂がまさか、敵に回るなんて……。俺達は、どうしたら良いんだろう…………。」
「あ、でも、海堂くんだって急にあんなこと言う人じゃないし、きっと何か理由があっ……!!」
「痛っ!!お前、怪我人はもっと丁寧に扱え!!」
「消毒ぐらいでギャーギャー喚かないの。ほんっと巧って子供。」
「……きっと、何か理由があると思うんだ。」
四人で話してるつもりの啓太郎だったが、実際は三原しかまともに話を聞いてはいなかった。
「……ンもぅ!!ちょっと聞いてんのたっくん!?」
「痛っ!!……あぁ聞いてる聞いてる。とりあえず、カイザのベルトを取り返しゃ良いんだろ?……ふー、ふー。」
「……まぁ、そうだけどさ…………。」
「……もしかしたら、」
巧のなんだか軽い言葉でカイザギア奪還の決意をなんとなくした一同に向け、三原が口を開く。
「……もしかしたら、照夫くんのこと、まだ気にしてるんじゃないかな……。
海堂、あの時俺達が『王』を倒した後も、しばらく落ち込んでたみたいだし……。」
「……だからって『王』を復活させたところで、あのガキの記憶まで戻るとは限んねぇだろ?」
「いや、むしろ0%に近いと思う。既にあの時から『王』の活動時に照夫くんの意識は無かったんだ。
『王』を復活させたとしても、以前と同じようにただオルフェノクを喰らい、世界を危険に陥れる存在でしか無いだろう。」
三原は、自らの推察を述べたあとに ふぅ と溜め息をつく。それは疲労からか、諦めからか、やりきれない海堂の気持ちを思ってか。
「復活させたってメリットが無ぇんなら、尚更早く止めなきゃじゃねーか…………つつ……!!」
「ちょ、その体で無理したら……!!」
「っせぇなぁ、んなもん大したこと無ぇよ。
ほら、さっさと行くぞ お前ら。」
重い腰を持ち上げた巧。
元より、取るべき行動は一つだった。
行くしかない。
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