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町外れにある廃工場。
がらんどうとなった建物の、その中心にいるのは冴子・氷藤・海堂。
「まずは、これをテーブルの上に適当に撒いてくれるかしら。」
「はい、冴子さん。」
冴子から渡された、透明な容器のカプセル。その中に入っていた「灰」を言われたとおりに、目の前に置かれたテーブルの上に撒いていく。
「……じゃ、あとは『王』をお迎えする『器』を置くだけね。」
「…………あ……………………!!」
カイザギアを手にし、灰の置かれたテーブルにゆっくりと歩み寄る冴子に、海堂は声を漏らす。
「……何かしら?」
「あ………………いや、何でも無ぇ。
…………続けてくれ。」
この時、海堂直也は
オルフェノクとしてでは無く、人間として直感した。「王」の復活の危険性を。野生の勘に近いものなのだろうか。
しかし、それは鈴木照夫への気持ちに勝ることはあろうはずもなく、復活阻止の僅かな可能性も完全に断たれた。
「…………ふふ、『王』よ……我等の『王』よ!!今一度、その姿を取り戻し、永き眠りから目覚めよ!!」
冴子はまるで儀式でも始めるかのように両手を挙げ、灰の上に置かれたカイザギアに向け、唱える。
いや、実際 儀式そのものなのかもしれない。まさにその「灰」は、ファイズの力を以てして滅せられた「王」のもの。
やがて、冴子に命じられたかのように灰はカイザギアに集結して行き、凄まじいスピードで外形を形成していく。
「ウ…………オ………………ォ………………
……ウォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
咆哮と共に、完全に姿を取り戻した「王」=アークオルフェノク。
地が、物が、空気が震える。
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