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「お待ちしておりました、王。私達が、貴方様を甦「照夫!!おい照夫!!」
王を迎え入れるように姿勢を低くする冴子を押しのけ、アークに掴みかかる海堂。
「聞こえてるか!?照夫!!」
海堂は呼びかけ続ける。アークの中に眠っているはずの、鈴木照夫の意志に対して。
しかし。
「………………………………。」
ガッ、と 海堂の腕を掴むアークオルフェノク。
次の瞬間
「ッッ!!ぐア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙!!!!」
海堂はアークにとって「捕食」の対象へと変わり、掴まれた海堂の左腕が突如、青い炎に包まれる。
「がァ…………っ!!このままじゃ…………!!
……ちくしょおオオオオオオオオオオオオオ!!」
スネークへと変わる海堂は、アークをドロップキックの要領で放った両足蹴りで蹴り飛ばして距離を取り、燃え盛る左手を見つめながら もう片方の右手に力を込める。
俺が復活させたモノは照夫では無かった
照夫はもういない 帰って来ない
その悔恨の念だけを背負って、右手刀を振り落とす。
「…………っっ!!
ぐ……ぁ…………あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
スネークが手刀を向けた先は、自身の左肩。燃えゆく左腕を根本から削ぎ落としたのだ。
落ちた左腕はそのまま、炎と共に青く凍てつくように固形化する。瞬時の判断により難を逃れたスネイクだが、油断は出来ない。
照夫の意識はまるで無いと分かった以上、アークが狙うのは手負いの自分であることなど自明の理。
「………………………………。」
アークは、スネークに見向きもせず、凍りついた左腕を 触手を伸ばして拾い上げ、直ぐさま捕食に移る。
バリ、ボリ、と鈍い音を立てながら豪快に炎ごと食らいつく。
「照夫…………照夫ぉぉぉぉぉぉお!!」
「あぁっはっはっは!!
カイザギアに刻まれた『憎しみの記憶』を依り代として『王』は復活なさったのよ!?あんな子供の記憶なんて、最初から宿るワケが無いじゃない!!」
アークを目の前に、オルフェノクとしての恐怖、人間としての失われた闘争心と危機感に包まれる海堂に、影山冴子は冷たく高笑いを向ける。
「ふふ、貴女も悪い人ですね……。彼の話を聞いた時点で、彼の望みが叶わないことぐらい、分かっていたでしょうに。」
「あら、いちオルフェノクとして『王』の復活に貢献出来たのだから、それで何より……そうでしょう?」
悪戯そうに微笑む冴子。元から彼女の頭には、王復活以外の目的は無かった。
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