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夏。
乾 巧は「西洋洗濯舗 菊池」の店先でいつもと変わらずけだるそうに立っている。
「……あっちぃ…………あいつらは奥で涼しんでんのに……」
「王」を倒してから半年。
徐々に滅びゆく肉体に特に驚きもせず、変わらない毎日を送る巧。
「……おい啓太郎!!やっぱこっちで俺もアイロンがけやらせろ!!」
「な、何言ってんのたっくん!!たっくんがアイロンがけやりたくないって言ったからじゃない!!」
「向こう暑ぃんだよ。ほら貸せ、俺がやるから。」
「だから良いって……ちょ……離してよ!!」
「ちょっと巧!いい加減にしなさいよ!!」
「いーや嫌だね。お前らだけ涼しい所で作業しやがって、ずりぃんだよ!!」
「もう何子供みたいなこと言って……あ!!」
ビリッ
「……あーーーーーっ!!もう何してくれてんのさ!!
…もう良いよ、俺が店番やるから……真理ちゃん、それ縫っといて……はぁ…………。」
「あ……啓太郎……
ちょっと巧!?あんたのせいでしょ!?謝って来なさいよ!!」
「……俺が悪いってのかよ」
「当たり前でしょ!?お客さんのシャツ破いてんのに反省も謝罪もしないクリーニング屋が一体どこにいるって言うのよ!!」
この日常も、いつか終わりが来る。
だが、その時が来るまでは、ずっとこの時間を楽しんでいたい。
彼、乾 巧は そんな願いもあってか、同居人・園田真理及び菊地啓太郎には自身の体、オルフェノクの寿命については詳しくは口にはしていなかった。
口には、できなかった。
「巧!!」
「あぁーもう……
謝りゃ良いんだろ!?謝りゃ!!」
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