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「その女を差し出しなさい!!今すぐ!!」
「……何だって?」
ファイズを止めたのはロブスターの声だった。
「このまま王が意思を統一出来ずに暴走したら、世界を支配するどころか、この世からは何もかもが消えて無くなるわ!!」
「だからって……何で真理を!?」
「いま、王の身体を支配しているその男の意思を消すには、その男が欲してるその女の身体を差し出すしか無いわ……!!」
つまりは、こういう話。
草加の意思が現在、最も強い憎しみとして王の身体を支配している。しかしその意思は「オルフェノクの繁栄」という王の目的とは明らかに違う意思。
そのため、精神と肉体に統一がなされず、どちらも言うことを聞かない、いわば暴走状態に近い状態にある。
このまま均衡が取れない状態で固定されれば、やがて我を持たぬ、ただの破壊兵器になる。空っぽの器に、破壊衝動のみが残る。
そして、それを阻止するためには草加が欲する園田真理の命を差し出し、草加の魂を浄化するしかない。
これがロブスターの見解であった。
「なんで、私が死んだら草加くんが浄化されるワケ!?」
「奴は草加雅人だろう?調べはついている。あの男の、君への溺愛ぶりはな。……つまり、君と一緒になれれば、奴はそれで十分なのさ。」
「そんな……死んで、私が草加くんと一緒にならなきゃ……世界は終わるって……こと……!?」
パンサーの説明で、一同はだいたいの理屈を察した。察しはしたが、納得が出来ないといった表情である。
ちなみに、ロブスターとパンサーがこんな提案をした理由は単に「世界」も「王」も壊されたくないから。
上手いように言いくるめようとはしているが、草加の意思が消えればそれこそアークオルフェノクが完全に復活を果たし、巧達にとっては状況は決して良くなったりはしない。
「世界か、真理か、か……。」
「さぁ、坊や。さっさとその女を差し出しなさい!!」
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