Faiz After Story ~残雪~

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成田空港。チェックを受けて荷物を引っ張り、出口へ向かう一人の凛々しい青年。 彼に、一人の女性が近づく。 どこか妖艶なオーラを醸し出すその女性は、一度微笑した後に、ゆっくりとその口を開く。 「久しぶりね…、氷藤(ひょうどう)くん。」 「……冴子さん。」 「いやー、驚きましたよ。まさか冴子さんに出迎えられるとは…。 ……スマートブレイン絡み、ですか?」 「いいえ…、貴方は日本を離れてたから知らないでしょうけど、あの会社は事実上潰れたのよ。」 「え……?まさか、村上社長が亡くなったんですか……!?」 とあるバーでカクテルを片手に話す二人。外の看板には「LUCKY CLOVER」の文字。 「そうね……、その後も若いコが社長に就いたんだけど…… 死んじゃったのよね、そのコも。」 「まさか……そんなことが……。 ……!!じゃあまさか、『王』が!?」 「ええ、復活したわよ……。けど『王』も倒された……ベルトの力でね。」 「え……!?じゃあ、僕達はどうなるんです!?まさか、このまま滅びろって言うんですか!?」 「放っておけば、ね……。」 フフッ、と焦る氷藤の姿を見て笑みをこぼす冴子。 「まだ『王』は死んではいない……って言ったら、どうする?」 「本当ですか!? ……成る程、それで僕を………。」 「察しが良いじゃなァい……、そう、『王』復活の為に協力して欲しいのよ……アナタに。」 ススス……、と氷藤の頬を手でさする。 「『王』は先の戦いで多大なエネルギーを消耗なさってるの……。 そんな『王』を復活させるには、多くのオルフェノクを葬って来た『器』が必要……。」 「……3本のベルト、ですね。」 少し顔を赤らめながら答える氷藤。 「そう。 スマートブレインもトップを失い、経営が乱れてオルフェノクどころでは無いって……だから、私達の手で復活させましょ……? 私達の……『王』を……!!」 「……分かりました、協力しましょう。その代わり……冴子さん。」 「……何かしら?」 「この仕事が片付いたら……僕と………!!」 「ん……。」 言葉を遮るように氷藤の口に人差し指をあてる冴子。 「ダメよ……今は仕事に集中。 ……その代わり、終わったら好きなだけご褒美はあげるわ…………。」 「……はいッッ!!」
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