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――☆――☆――☆――
コウは眩しさに目を覚ました。
カーテンの隙間から、日差しが横からまっすぐ差し込んできている。
ということは、日の出直後といったところか。
上体を起こし、立てた膝の上に左腕を乗せた。
「なんで今更、あんな夢……」
コウは呟きながら、そっと目を閉じる。
夢はしょっちゅうというほどではないが、よく見る。
そして、ほとんどはたわいもない内容なのに、昨夜のは違った。
二年前の、最後の任務。その記憶。
「はあ……」
くしゃっと黒い前髪を掴むと、勢いをつけて立ち上がる。
――過去に囚われてたって、何にもならないしな。
着替えを済ますと、ハットと上着を着て、右の太ももに巻きつけたホルスターに、愛銃を収めた。
白い装飾銃、ウィング。俺には似合わない銃。
そして、コウは部屋を出る。
町の酒場で掃除対象の情報を集めるが。
――あんまりないな。……大きな街に行くか。
閑古鳥が鳴いている店内を一瞥して、コウは店を出た。
ビルがあまりないこの町は、太陽がよく差し込んでくる。
目を細めながら、そっと空を見上げた。
二年前までいた街は、もっと暗かったような気がする。
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