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佐藤さんが顔を出しているのは俗にいうラブホテルの入り口。
妖しいネオンが誘我灯のように盛った恋人達を誘い、その欲望を存分に吐き出させてくれる魅惑の場所。
「ちょっ……佐藤さんっ」
近づいた俺は手を掴まれ有無を言わさぬ力で中へと引き込まれていった。
「さあ、どこにする?」
パネルの前で腰に手を当て仁王立ちする佐藤さん。俺はそんな彼女の後ろでパネルを眺めていた。
「どこにするって……。佐藤さん出ましょうよ。佐藤さんちに送っていきますから」
「やっぱりスィートルームでしょ」
佐藤さんは俺の意見などまるで聞かず、最上階の唯一空いていた部屋のパネルを押した。
そして出てきたカードキーを手に天使のような笑顔で振り返った。
「さあ行くぞ!」
ええっ!!
俺は引っ張られながらエレベーターへ引きずり込まれた。
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