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運命だと思った―――…。
町中を歩いている私の横を、通り過ぎた男から感じた、確かな"殺気"
その強さに身震いした
つい、足を止めて振り向くと、彼も立ち止まって、私を見据えた
その真っ直ぐな瞳から
どうしても目が逸らせられない
何を考えているのか、思考も読み取れないが
少なからず、彼は私に微笑みかけてはくれないだろう
ましてや、何か紳士的なことをしてくれるわけでもない
だけどそれでも私は、彼から目が離せられなかった
周りに纏う何か…
言うなら"殺気"だろう
それが、私の"殺気"と
否、"音"と共鳴しあう
――――同じ"音"がする
駄目、近づいてはならない
深入りなどしてはいけない
心はそう叫び続ける
なのに何故?
この出逢いを待ちわびていたかのように、私の中は疼く
まるでそれが、"運命"かのように
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