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「お~い、マチ~!」
「何?どうかしたゆい」
あたしの「やっぱり好きじゃないかな・・・」発言から、もう10年が経とうとしていた。
あれから、益田さん、もとい益田笙子はせっかく入れたにも関わらず、また親の仕事の関係で転校してしまった。
浅羽くんはといえば、相変わらず槇野くんと二人でいる。
あれ以来あたしは極力彼と深い関係にならないようにさりげなく避けている。
別に彼と元からそんなに関わっているわけではなかったから、特別避ける必要も無いのだが、まぁ念のため…というやつだ。
何があるか分かったもんじゃない。
あたしはきっと益田さんと同じことを言われたら大泣きしてしまうだろう。
これはあたしだけというわけでもない。
誰が何と言おうと、まだあたしたちは小学1年生だったのだ。
あそこで泣かなかった彼女はきっと神経が図太いのだ!
そんな、結果に脳がたどり着いていることは気にしない方向で・・・
あたしの親友であるゆいは、見事初恋を実らせ彼氏と仲良くやっている。
ゆいの彼氏は、先程も少し出てきた槇野陽くんだ。
陽くんの明るくて元気なところに一目惚れしたらしい。実際に、告白をして付き合うようになったのは中学1年の夏頃・・・だったか。小学生の頃から、もう両想いだったにもかかわらず恥ずかしくて告白できなかったようだ。
告白をしたのは槇野くんからだった。
何年ものブランクがあるからか、2人はとても仲がいい。
見ている方が恥ずかしくなるほどに・・・
それは今、置いておくことにして
「ゆい、どうかしたの?」
「マチ、一緒に遊ぼ!」
いきなりどうしたのだろうか。
私はゆいの意図が分からず、ただポカーンと立ち尽くしてしまった。
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