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入学してから2か月がたった頃、あたし達の学年に転校生がやって来た。
益田笙子(マスダショウコ)親の仕事の関係で入学式から間もないなか、転校して来た。見た目はかわいらしく、女子のグループの中心的存在だ。
あたしは良い印象を持たなかったが、隣のクラスだし関わることはめったに無いだろうとたかをくくっていた。
そんな私は本当にバカだった。
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――‐
ある日、益田さんが突然あたしのクラスへやって来た。特に行事などがかぶるわけではなかった私は初めてしっかりと彼女を見た。
うわさ通りかわいらしい容姿だ。気が強そうな強い目を持っているにも関わらず、親しみやすさを感じる雰囲気。
自然と男の子の目を引いていた。あたしは一緒に話をしていたゆいに彼女について話題を振ってみた。
「益田さんってかわいいし、話しかけやすそうっていうので人気だよね。けど、何かあたしはあまり好きじゃないタイプなんだよね…」
「それって、ほら、あれだよ…え~と、あっ!女の感!!」
「そうなのかなぁ…?」
そんな話をしている間にも、彼女はどんどんと教室の真ん中辺りまで入ってきていた。
あたしとゆいが何をしに来たのか見ている事に気づいた彼女は一瞬こちらを振り向くと同士に
‘チッ’
えっ…!?
あたし達、今舌打ちされた?
だが、彼女はそんなこと無かったかのように教室の奥まで入ってくる。
きっと今の舌打ちに気づいたのは、あたしとゆいだけであろう…いや、ゆいにも下手したら気づかれていないかも知れない。
この時あの、かわいくて人付き合いの良いことで有名な益田さんはネコを何十枚もかぶっているような気がした。
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