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浅羽くんがいつも一緒にいる、槇野陽(マキノヨウ)くん。元気で明るくて浅羽くんと性格が真逆のようなこれまたカッコいい部類に入る男の子、いわゆるイケメンくんと話をしている時、ついに益田さんは浅羽くんに話しかけた。
「はじめまして、浅羽夜鷹くん。しょうこと友達になろ?」
それは、クラス全員が驚くほどいきなりの出来事だった。
理由?そんなもの決まっている。
なんと言おうと、彼女は転校してきたばかりでかわいいと噂になっているちょっとした有名人だ。
彼女と友達になりたい人はたくさんいるだろう。
そんな人が、自分からわざわざ浅羽くんへ友達になりたいと言ってきたのだ。
まあ、言い方はほとんど強制的&強引な感じだが…。
あたしは、きっと浅羽くんは益田さんの友達申請(?)を断らない。と思った。
どこで友達以上の関係になってもおかしくない彼女たちを想像して、とても胸が苦しくなる。
これは浅羽くんを気になっているからなのだろうか、それともなにか違う理由があるのだろうか…
いや、今はそんなことを考えてる場合ではない。
あたしの予想ではなく、浅羽くんが何て答えるのか、それが今のあたしには重大な事だった。
「益田さん?だっけか。」
「うん!」
益田さんは当然OKがもらえると思っているからか、自信満々に頷いた。
「あぁ、合ってるか。俺、アンタと友達にはなりたくない」
クラスにブリザードがどこからか吹いてきたように感じるほど、周りの空気が一瞬にして氷点下まで下がった。
その証拠に益田さんも頷いた時のままの元気な顔で固まっている。
一番始めに元に戻ったのはそんな事を言われた益田さんだ。
「な、何で?浅羽くん?」
「は?んな事アンタが一番分かってるんだろ?」
「なんの事かな?しょうこのお願い断るの?」
「いつまでネコ被ってる気だよ。俺、そーいうヤツ一番キライなんだよね」
……………。
言っちゃったよ。言っちゃいましたよ、浅羽くん。
あたしがおもいっきり言いたかったこと。
じゃなくて、そんなことより
「「「え゛ーーーーー!!!」」」
この時、初めてクラスのみんなの気持ちが重なった。
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