第一章

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<1>  世界は、樹々に覆われていた。  地には隙間なく根がうねり、一枚で人間一人分はあろうかという巨大な枝葉の群れが空を隠す。  かつて人口一千万人を数えた超大都市(ギガロポリス)は見る影もなく、天高くそびえ立つタワービルの残骸は今や、それ以上に巨大なヘチマの支柱と化している。  公害で濁りきっていたはずの空は青く澄み渡り、白い雲が悠々と流れ行く。  雲を突き破って咲いているのは、直径二十メートルは超そうかというヒマワリの大輪だ。  奇怪極まるその光景は、見る者の怖気を掻き立てる。  どうしようもないほど圧倒的な生命力を持った存在が、ただ静かに、そこに存在しているというだけで……。  ――植物が異常な成長を始めてから、早数十年。
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