第一章

3/43
前へ
/313ページ
次へ
 メガプラント――  通称・MPと名付けられたそれら異常成長性植物の群れによって、地球環境は蹂躙され尽くしていた。  交通網は一切が寸断され、情報伝達網でさえ電波以外の通信は不可能、あげくにメガプラントの中には人類を好んで補食する類の動性植物が存在していたとあっては、手の施しようがない――  パニックは瞬く間に世界中を覆い尽くし、人類文明は、一年と保たずに崩壊した。  文字通りの、崩壊。  今、こうしてかつての超大都市を見渡しても、そこに人影は見えない。  あるのはただただ、無秩序に広がる森――  蔦に絡まれた高層ビル――  土中から生えたキノコに、覆された家――  落下したヒマワリの種に、押し潰された自動車――  そのどれもが、文明の名残ではあっても文明そのものではあり得ない。  人類は、消滅した。  ――少なくとも、地上からは……
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加