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「おい、横を借りるぜ」
図々しくも私の隣に現れたのは、かの体育委員だった。
先ほど彼が私を「歩く校則」と称したが、私が彼を呼ぶなら「歩く筋肉の塊」だろう。以降、略して「筋塊(きんかい)」とする。
そして、不本意ながらも筋塊に出会した私は、この場を離れなるのが得策だと判断した次第だ。本能単位でそう感じた。
両足に力を込め、立ち上がろうとしたその時、私は危機に陥る。いや、とっくに陥っていた。
――両方のコンタクト落としてた。
血は争えない物だ。
そんな事くらい分かっているが、よりによってこのタイミングで母と同じミスを犯しているとは。
因みに、この時点ではまだ、筋塊は隣に座る私が同じ学校の風紀委員とは気付いていなかった。
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