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序章:きっかけ
「ここは…どこ…? って…うわぁ? 夜風?」
「朱美…? 何がどうなっているんだ…? 気づいたらここに…ってか、ここどこだよ?」
「ハイハーイ、こちらに注目? えーと、我は『刻の支配者(タイム・ルーラー)』です。んなわけで、あなた達は、おめでたいことに、『刻の支配者』になる資格を得ました。なので、選んでくださいな。」
「「何を?」」
「『刻の支配者』になるか、『脱獄囚(プリズン・ブレイカー)』になるかをですよん。ま、3日間ほど猶予を与えますから、じっくり考えてくださいね。じゃ。」
「ちょ…アレ? 夢…?」
私は、流川朱美(るかわあけみ)。今年で、17になる。
今、説明してるけど、遅刻しそうで走ってるのよ?
で、さっき夢に出て来たのは、サッカーバカで、わりとイケメンの今宮夜風(いまみやよかぜ)。
にしても…さっきの夢はなんだったんだろう…
とか考えながら、走っていると、十字路に差し掛かったところで、怪しげな男とぶつかった。
男は、そのまま逃げた。
その後すぐに、どこかから声が聴こえた。
空を見上げると、夢に出てきた魔女のような格好の少女が落ちて来た。
私は、立ち上がり、すぐに落下点に移動し、受け止めた。
「ぐーるぐーる…目が回る…助けてくださってありがとうございます。 …? あなたは…誰だっけ?」
コイツ…バカなのか…? さっき会ったじゃん。あ、夢か。
「あなたは確か…流川朱美さんですね? 今考えていることに答えましょうか? 我は『刻の支配者』故に、夢に干渉し、我という存在をその者の意識と魂に植え付けることができるのです。で、1つ先程伝え忘れ…ウプッ…ゲボッ…オエェェェェ…」
「ちょ…汚っ? ってか、ココで吐くな? くっさ…」
「すみません…えーと、ゲロじゃないです。粘液なんで、気にしないないでください。自己紹介遅れましたが、ウプッ…我は、八咫野尊(やたのみこと)です。と言っても、偽名ですが。あ、すみません…吐かないでください。ホント、これあげますから。」
と言って、尊は、吐き出した大きな漆黒の玉を朱美に差し出した。
朱美は、それを受け取り、地面に投げつけながら、
「いらんわぁ? 何つーグロテスクなもんいたいけな少女に渡してんだ? ってか、吐いてんのあんたでしょうが?」
と言うと、地面に落ちた漆黒の玉は、赤く光りはじめた。
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