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喉の渇きは、コップ二杯分では満たされず、三杯目で漸く満足することができた。
続いて四杯目を注ごうとする遥だったが、流石に彼女にも悪いと思い、四杯目は自分で注いだ。
麦茶で一杯になった容器は、そのまま飲まずに、手で保留しておく。
「遥も大変だな」
「何が?」
「いやさ、毎回のごとく教授の無茶ぶりに付き合ってるじゃん」
まあね、と短く返す彼女。遥も自分と同じく、おじさんの突拍子のない冒険に連れ回される一人なのだ。
「私たち皆勤賞だよね。ねぇ、知ってた? 私たち、これで二十七回目になるんだよ?」
「二十七回!? そんなにいってたのか……。普通なら、呆れてほっとくレベルだな」
「まあね。何よ、今更……。でも、大ちゃんだってそれは同じことでしょ?」
「確かに。なんだかんだで、こうして今回もここにいるからな」
「その常連さんが、こんな日陰でサボりですか?」
遥が、冷やかし序(ついで)に、そのか細い指で横っ腹を数回突(つつ)いてきた。
「誰がサボってなんか……休憩に決まってるだろ……。あと十分もしたら作業を再開するさ……」
「なんだか今回は乗り気じゃないみたいね」
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