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「……まあ、命に関わることだけは勘弁だけどな……よしっ!」
空の容器を遥に返し、勢いよく立ち上がた。
「どうしたの?」
彼女は少し訝(いぶか)しげな様子で、首と視線を僅かに上げる。
「遥の話聞いてさ、断然やる気が出てきた」
「じゃあ……早速、作業再開?」
「そうだな。さっさと始めるかっ!」
「おやおや、俄然に燃えてるみたいだね」
「あっ、お父さん。お疲れーー」
戻ろうとした日向から、カウボーイハットを被った、見た目五十代のおじさんがひょこひょこと、その太っ腹を揺らしてやってきた。
この人が、遥の父親にあたり、俺らを呼び出した張本人、宿凪将一(やどなぎまさかず)教授である。
背中の大きなリュックサックは万事に備えての対策で、実際、このリュックサックには、何度も助けられている。
「おじさ……教授、お疲れ様です」
「おいおい……なんか堅苦しいから、もうお父さんって読んでくれても構わないよ?」
「いえ、教授で結構です」
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