DUF

7/30
前へ
/82ページ
次へ
「何言ってるの……。アカハラ撲滅っていう広告が、大学のそこら中に貼ってあるでしょ」 「俺はそんな不謹慎な奴じゃないからな」 「今さっき認めてなかった?」 「……すみませんでした」 「いいよ、許してあげる。……けど免許取ったら、最近オープンした例のショッピングモール、連れてってもらうからねっ」 「え……」 「何か文句でもありまして?」  断ると事態が煩雑しそうなので、承知しておく。 「運転、超怖いんですけど」 「まあ、そのうち慣れるって。ブゥーンって、ひとっ走りでしょ?」  ハンドルを持つようなジェスチャーで、運転手を真似る遥。  そんな彼女も、まだ免許を持っていない身だ。彼女曰く、今年の夏休み中に車校へ入校し、秋には免許を取得する予定らしい。 だが、彼女からまだ入校したという報告は、今のところ無い。このままだと、平然と冬くらいまで持ち越しそうな程だ。  そんな呑気な運転手は動きを止める。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加