DUF

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「遥ーっ! ちょっとこっちに来てくれーー」  声が聞こえる方へ振り返ると、教授が手を拱(こまね)いていた。 「今行きまーすっ! じゃあ、穴掘り頑張ってね」  遥は颯爽と、教授の下へと向かって行った。 (あいつも忙しいな…)  遥が居なくなると、今起きたばかりなのか、蝉が一匹、せわしく声を上げ始める。それに応えるかのように、体感温度も上昇し始め、滴る汗は掘りたての土壌に吸い込まれていった。 「さて……やるかっ!」  黄色い声援もあったため、しぶしぶ作業を再開する。しかしその甲斐虚しく、三十分後にはシャベルを投げ出してしまうのだった。 そして俺は、逃げるように日陰というオアシスに滑り込んだ。 「ふぅ……」  備え付けのベンチに体を預け、しばらくしおれる。 冷えた木材の感触が肌に心地いい。火照りきった身体は冷やされていった。
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